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ステッパーズ・ストップ

そのほか

2012年


くもり高校生01


くもり高校生。

【0。】

 あなたが高校の同じクラスで親しくなった久山という女子は、ちょっと変わり者だ。フルネームは久山守湖(くやまもりこ)と言い、小さな頃から「くもり」というあだ名で呼ばれているらしい。

 くもりは空想の世界に浸るのが好きで、よく人の話を聞き逃してしまったり、不注意で忘れ物をしてしまったりということが多い。それだけでも酷いのに、ときどき空想の内容と現実を取り違えたようなことを口走って、自分で赤面してしまったりするのだから困り者だ。不名誉なことに、クラスの天然キャラランキングでは彼女が不動の一位の座についている。

 くもりはマンガやゲームが大好きで、あなたはそのことで彼女とよく話が合って、仲良くなった。高校の授業が終わったある放課後に、あなたは彼女に誘われて、くもりの家に遊びに行くことになった。

【1。】

「ただいまー」

 くもりの家は商店街にある駄菓子屋だった。彼女は店頭で店番をしているおじいちゃんに挨拶して、ずんずんと奥の茶の間に入っていく。あなたもおじいちゃんに挨拶して、おうちにお邪魔することになった。

 茶の間にあがると、くもりは背負っていた鞄を無造作に畳に放り投げた。つとつとと廊下に出て、ちょっと暗がりになってる洗面所で電気もつけずに「ぁが〜ぁ〜」とうがいをする。あなたはとりあえず立っている。部屋にはブラウン管の古いテレビと、急須の乗ったちゃぶ台がある。ちゃぶ台のそばには座布団が敷かれている。

・座布団に座る→3
・座らない→2

【2。】

 あなたが立ち尽くしていると、うがいを終えたくもりが部屋に戻ってきた。

「座って座って」

 あなたはそうすることにした。

【3。】

 くもりは座布団に正座したあなたを横切った。

「ちょっと待ってて。食べるの取ってくるね」

 と言って、入ってきた店先の方に戻っていく。くもりは指を口につけて三秒くらい迷った後、棚にある駄菓子をがさっと大量に掴んで持ってきた。これは万引きにはならないのだろうか。おじいちゃんは孫の所行を見て、楽しそうに目を細めるだけだった。

 くもりが戻ってきて、あなたの前のちゃぶ台に、タバコを模したチョコレート、ふ菓子、4枚入りくらいの袋のポテトチップなどをどさどさと落とした。

「好きに食べていいよ。食べよっ。いただきまーす、あ、これおいしー!」

 くもりはあなたの向かいの座布団に腰を卸して、一挙動くらいでポテトチップの袋を開け、中身を頬張っていた。

「はひひほーは?」

 ほっぺを膨らませたまま喋ってくる。口の隙間から何か飛んでくるけど、それも彼女は気にしない。何を言ってるのか聞き取れないので何度か聞き返すと、どうやら「何しようか?」と言っているようだった。

「プリステと、シンテンドーDSと、あ、iiiもあるよ。けどケーブルが痛んでてうまく映らないんだよね・・・トランプする? 納戸にフラフープとボールがあるから、裏庭でやってもいいよ。そうだ、お父さんが買ってきた、ヘンなボードゲームがあって、開けてないんだった」

 ごちゃごちゃと並べ立ててくる。

【4。】

 さて、なにをして遊ぼうか。

・テレビゲーム  →5
・トランプ    →6
・裏庭で遊ぶ   →7
・ボードゲーム  →8
・お医者さんごっこ→9
・くもりに任せる →10

【5。】

「ゲームがいいの? 二人でできるやつ・・・iiiがいいかな。花火のゲームが、きれいで楽しいよ。あれ? コントローラがない。あれ? プリステもだ」

 おかしいなー、とケーブルやらソフトやらがごっちゃに入った段ボールをかき回す。

「わかった。お母さんだ。ゲームばっかりやってないで勉強しなさいってうるさいんだ。そんで、すぐ隠すんだよ。こうやって、くもりがゲームできないようにくもりがゲームできないように! お母さんきらい!」

→4

【6。】

「トランプね。戦争知ってる? 戦争やろう。せーんそ!」

 「戦争」という、プレイヤーが一切介入する余地のない100%の運ゲーを小一時間ほどやった。結局勝負はつかなかった。

「飽きてきたね・・・次何しようか」

→4

【7。】

「外行く? じゃあ外行こうか。こっち。あ、靴持ってきてね」

 あなたはくもりについていき、廊下の奥に行く。つきあたりの勝手口のドアをくもりが押し開けた。開けたドアはガン、と当たって45度くらいしか開かない。外は塀に圧迫されていて狭いらしい。

 二人が外に出ると、塀の上に茶色の猫が座っていた。それを見つけたくもりはすぐさま両手を上げてジャンプし、「にゃあ!」と叫ぶ。猫は逃げていった。

「あいつすぐ逃げるんだよ」

 くもりはドアを閉めて、家と塀との間の狭いスペースを歩いていく。地面は雑草が伸び放題になっていた。物干し台やら何も生えてない植木鉢やらといった障害物を避けると、塀の隅に来て隙間は折れ曲がっていた。商店街とは反対側の面だ。その塀をよじ登って越えた先にある敷地が、くもりの言う裏庭であるらしかったが……

「あー! あーあ、だーめだぁー!」

 家が建ちかけていた。まだ木材で骨組みを作っただけのようだったが、とても遊べそうな状態ではなかった。

「もー、こんな勝手に家なんか建てて!」

 あなたとくもりは、すごすごと茶の間に戻ることになった。

→4

【8。】

 くもりが二階からボードゲームの箱を持って降りてきた。割と立派な箱で、表紙のイラストでは、リアルな画風で描かれたカエルがたくさん踊っていた。くもりが表面のビニールをばりばりと破き、フタを開ける。

 中からは蓮の葉がたくさん浮いた池のボードと、緑色に塗装されたたくさんのカエルの駒や、カードなどが出てきた。くもりは説明書の冊子を開いてじっと見ていたが、いきなり笑いだしてしまった。

「あははははは! なにこれ馬鹿じゃん、こんな英語で書かれてたら、お父さんもいないのに分かる訳ないよねー。なしなし!」

 高校の授業の成果を活かす気などはさらさら無いらしく、ボードゲームで遊ぶのはナシになってしまった。

→4

【9。】

「えー? お医者さんごっこー? あんなの脱ぐだけでつまんないじゃん」

 あなたはお医者さんごっこを提案したが、一瞬で蹴られてしまった。

・頼み込む→11
・ほかの遊びにする→4

【10。】

「なにするかねえ……せっかくだから、普段やってるようなのじゃなくて、何か違うことしたいなあ……」

 くもりは腕を組んで首をひねる。手入れの行き届いてないショートヘアが揺れた。少しして何か思いついたらしく、顔の向きをあなたに戻してきた。

「あーそうだ! これだよ! ねえ、RPG好き? ファイ……ファイナファンタジアとか」

 あなたはどう答えるか?

・「好き」→12
・「そうでもない」→13

【11。】

「だからつまんないじゃん。じゃあもうホラやってみるよ?」

 と言ってくもりは右手の親指を立てて、あなたの胸に当てる。

「あーこれは……健康ですねー。何でも病気のせいにしてないで、ちゃんと学校に行きなさい! おわり。ほらつまんないでしょ?」

 くもりは有無を言わさず自己完結した。あなたが、いや違う、自分が医者をやると訴えると、くもりは慌てて自分の胸を隠してきた。

「ねえちょっと、エッチなことしようとしてない? いやしてるよ。その顔は絶対エッチなこと考えてるよ。そう言えば、前からそんな奴に違いないと思ってたよ」

 あなたは反論できない。お医者さんごっこの選択を二度も押したのだ、言い訳はよしたまえ。あなたの目論見は、この少女に見事に看破されているのだ。

・土下座して頼み込む→14
・あきらめてほかの遊びを考える→4

【12。】

「よしじゃあ、わたしがRPGしてあげる!」

 くもりがきみのためにRPGをしてくれるらしい。どういうことなのだろうか。

「あのね、わたしがゲーム機やってあげるから。あのー、どこにいるとか、敵が出たとかわたしが言うから、そっちはどうするかを言って? ほら、それだけでRPGが出来るよ。すごくない?」

・RPGをしてもらう→15
・違うのがいい→16

【13。】

「そんなのはいいんだよ。RPGは楽しいんだって」

→12

【14。】

 土下座したあなたの頭は、くもりにターンと叩かれた。

「バカ! スケベ! そういうのはダメ!」

・土下座を続けるなら、この番号へ。
・あきらめるなら、4に戻って遊びを選び直すこと。

【15。】

「じゃあ始めるね。あ、ちょっと待ってね」

 くもりは立ち上がり、ダダダダと足音を立てて二階に上がっていった。

→17

【16。】

「RPG! RPGぃ! こっちがしてあげるんだから文句言わないでよ。まったく非常識だなあ」

 くもりはちゃぶ台をタシタシ叩く。

「RPGじゃなきゃやだよ。もう、もーう、テコでも動かないもんね」

 腕組みをしてツンと顎を上げてくる。

・おとなしくRPGを受ける→15
・帰る→18

【17。】

 階段を駆け降りて帰ってきたくもりは、一冊のA4ノートを持っていた。表紙には大きなマジックの文字で「国語」とあるのをバツマークで訂正して、その下に「RR」とあるのをさらにバツマークで訂正して、一番下に「RPG」と書かれていた。

「これは見ちゃだめだからね」

 くもりはあなたには見えないようにノートを開き、自分で中に書いていたらしい、プロローグを読み始めた。

→19

【18。】

「え? 帰るの? あっそ、じゃあもう好きにすれば?」

 くもりは座って腕を組んだまま、そっぽを向いてあなたから顔を反らす。

・本当に帰る→20
・やっぱりRPGをしてもらう→21

【19。】

「えっと、その世界には神様が三人もいましたが、仲が悪くていつもいがみ合っていました。その中で一番弱かった女神様は、争いに負けて地上にたたき落とされてしまいました。地上は乾いたでこぼこで生き物がいませんでしたが、女神様が流した涙が海になって、その中から生き物が進化して生まれてきました。女神様を落とした別の神様が面白がって降りてきて、生き物をこねくり回しました。人間が出来ました。人間はあっと言う間に増えて、立派な文明を……えっと……これ何て読むんだ……わかった、「築き」だ。はい、人間はあっと言う間に増えて、立派な文明を築き上げました。男の方の神様は自分が人間を作ったと言って人間を従えようとしましたが、女神様が、もともと生き物を作ったのは自分だから人間も自分のものだと主張しました。けど女神様は弱かったので、山に叩きつけられてしまいました。女神様がほろりとこぼした涙が、川になりました。人間たちの多くは、強い方の神様を自分たちを作った神様と信じ、従いました。ほんの少しの人たちだけが、女神様に従いました。女神様こそが創造主だと信じた人たちと、女神様を可哀想に思った人たちです。彼らは女神様の膝元に集い、小さな村を作りました。のど乾いた」

 くもりがノートを置いて立ち上がり、台所の方に歩いていった。

・ノートを覗いてみる→22
・おとなしく待つ→23

【20。】

 あなたはくもりを置いて靴を履き、茶の間を出た。くもりは、ちゃぶ台の上に広げた駄菓子を見て、涙目でうつむいている。店番のおじいちゃんにお邪魔しますと言うと、彼はあなたが一人で出てきたのを不思議がった。

「あれ、もう帰るの? また来てね、くもりと仲良くしてやってね」

 あなたは曖昧に微笑んで帰路に就いた。

 次の日からあなたはくもりから無視されるようになってしまった。あなたが駄菓子屋に招かれることは、もう二度となくなった。

・おわり

【21。】

「ほらやっぱりRPGしたいんじゃん! もう、面倒くさいんだから!」

 振り向いたくもりの笑顔は、ぱっと開いた花のようだった。

→15

【22。】

 あなたはくもりが席を外している間に、そーっと中を覗き見る。最後の方らしいページがちらりと見えた。

「そう、賢者ラーダの予言した破滅の王とは、パンドラのダムに封じ込められた覇王ボアではなく、ジェノサイドスターの方でした。覇王ボアとは、破滅の王を弾き飛ばすために女神様が吐いた吐息だったのです。フォルオールはパンドラのダムに銃口を向けて、その引き金を引きました。千年間もそびえ立ち続けたダムは決壊します。中から虹色の竜巻が出てきて、今まさに地上に衝突しようとしていたジェノサイドスターを、空の彼方に弾き飛ばしました。こうして世界は、勇敢なフォルオールの手によって救われたのでした。

 めでたし めでたし」

 ほかのページに移る前に、くもりがお盆にお茶を乗せて戻ってきた。

「あーこら! 見てる! 見ちゃだめって言ったのになんで見るのー!」

 ちゃぶ台にお茶を置くと、くもりは慌ててノートを回収する。

「ねえ、どこ見た? どこのところ見たの?」

 大したところは見えなかった、とあなたは嘘をついた。

→24

【23。】

 あなたがじっと待っていると、くもりがお盆にお茶を乗せて戻ってきた。

【24。】

「それじゃ続きを始めるね」




つづく


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